Japanese
English
特集 「実感と納得」に向けた病気と治療の伝え方
パーソナリティ障害—新しい障害概念と共同治療策定モデル
New Personality Disorder Concept and Collaborative Treatment Planning Model
林 直樹
1
Naoki Hayashi
1
1西ヶ原病院
1Nishigahara Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
パーソナリティ障害
,
personality disorders
,
境界性パーソナリティ障害
,
borderline personality disorder
,
治療
,
treatment
,
障害概念
,
disorder concept
Keyword:
パーソナリティ障害
,
personality disorders
,
境界性パーソナリティ障害
,
borderline personality disorder
,
治療
,
treatment
,
障害概念
,
disorder concept
pp.1705-1712
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206496
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抄録 精神科治療は,患者(および関係者)と治療者の協力関係に基づいて進められる営為である。治療者は,そこで専門的な援助を行う役割を担うのであるが,それを実際に役立てる主体は患者である。患者が診断やその治療に納得できるかどうかは,その成果を決定する重要な要因である。しかし,パーソナリティ障害(personality disorder:PD)の治療では,その障害概念の特徴から,患者に納得してもらうことが容易でないことがしばしばある。
最近発表されたDSM-5のPD代替診断モデルやICD-11のPD診断基準では,パーソナリティ(人格)とPDとの関係が明示されるなどの大きな変革が行われている。本稿では,最も臨床で問題になることの多い境界性(borderline)PDを取り上げて,最近の診断基準にみられる新しいPDの診断概念に対応する診断や治療についての説明のあり方について検討し,その一例を提示した。そこでは,患者のパーソナリティ(人格)の尊重を徹底することを最優先としつつ,患者の感じ方に沿いながら障害の説明や心理教育が進められる。さらに筆者は,PD診療の実態に適合する治療モデルとして,治療プランを治療者と患者が協力して策定し,実施後にその効果の検証する過程を重ねていく共同治療策定モデルを提示した。
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