Japanese
English
特集 サイコーシスとは何か—概念,病態生理,診断・治療における意義
高齢発症のサイコーシス
Late-onset Psychosis
樫林 哲雄
1
,
赤松 正規
1
,
藤原 維斗彦
1
,
上村 直人
1
,
數井 裕光
1
Tetsuo Kashibayashi
1
,
Masanori Akamatsu
1
,
Itohiko Fujihara
1
,
Naoto Kamimura
1
,
Hiroaki Kazui
1
1高知大学医学部神経精神科学講座
1Department of Neuropsychiatry, Kochi Medical School, Kochi University, Kochi, Japan
キーワード:
遅発性統合失調症
,
late-onset schizophrenia
,
LOS
,
最遅発性統合失調症様精神病
,
very-late-onset schizophrenia
,
VLOS
,
妄想
,
partition delusion
,
嗜銀性顆粒
,
argyrophilic grains
Keyword:
遅発性統合失調症
,
late-onset schizophrenia
,
LOS
,
最遅発性統合失調症様精神病
,
very-late-onset schizophrenia
,
VLOS
,
妄想
,
partition delusion
,
嗜銀性顆粒
,
argyrophilic grains
pp.363-370
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206299
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抄録 老年期に発症したサイコーシス(VLOS)と考えられる症例を提示し,VLOSで見られる臨床的な特徴について解説した。さらに,近年報告されているVLOSの病理学的背景についても概観した。VLOSでは被害妄想やpartition delusionと呼ばれる妄想が特徴的で,さまざまな幻覚や抑うつ,不安,緊張状態,混乱,興奮を伴うことが多い。その一方で思考過程の障害や陰性症状を呈する頻度は少なく,予後はよいとされる。治療についてはわが国で承認されている抗精神病薬での有用性は示されておらず,今後の課題である。病理学的背景としては,アルツハイマー病の可能性は低く,辺縁系に限局したargyrophilic grainsが関連していることが報告されている。
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