Japanese
English
特集 身体症状症の病態と治療—器質因がはっきりしない身体症状をどう扱うか?
身体症状症の早期診断の重要性とその方法
The Importance of Early Diagnosis of SSD and How to Do It
上田 剛士
1
Takeshi Ueda
1
1洛和会丸太町病院救急総合診療科
1Department of Emergency and General Internal Medicine. Rakuwakai Marutamachi Hospital, Kyoto, Japan
キーワード:
診断
,
diagnosis
,
身体科医
,
physician
,
身体症状症
,
somatic symptom disorder
,
SSD
,
ユリシーズ症候群
,
Ulysses syndrome
Keyword:
診断
,
diagnosis
,
身体科医
,
physician
,
身体症状症
,
somatic symptom disorder
,
SSD
,
ユリシーズ症候群
,
Ulysses syndrome
pp.1579-1585
発行日 2020年12月15日
Published Date 2020/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206234
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抄録 古典的には器質的疾患を除外することが身体科医の第1の役割であり,器質的疾患を除外してから初めて身体症状症(SSD)の診療が開始されていた。しかし,器質的疾患の除外は容易ではなく,またSSDの診断にとって必要条件でもない。SSDを積極的に診断するほうが診断までの日数は短く,正診率はむしろ高い可能性すらある。SSDを早期に診断することで,不安や「症状の深刻さについての不釣り合いな思考」に対して早期にアプローチが可能となる。
SSDの早期診断には病歴が最も重要である。非特異的な全身症状のみで臓器特異的な症状や客観的な異常所見がない場合や,多臓器にまたがる症状を呈する場合はその可能性が高いが,一つひとつの症状が器質的疾患を示唆するに値するか詳細に確認する。身体診察では診察中のため息や,腹痛があるにもかかわらず腹部診察時に眼を閉じていることが参考になる。決して闇雲に検査をしないことが肝要である。
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