Japanese
English
特集 身体症状症の病態と治療—器質因がはっきりしない身体症状をどう扱うか?
内受容感覚の予測的処理から理解する身体症状症
Understanding Somatic Symptom Disorder Based on Interoceptive Predictive Processing
上野 大介
1
Daisuke Ueno
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学
1Department of Psychiatry, Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine, Kyoto, Japan
キーワード:
身体症状症
,
somatic symptom disorder
,
SSD
,
内受容感覚
,
interoception
,
予測的処理モデル
,
predictive processing model
,
高齢者
,
older adults
,
計算論的精神医学
,
computational psychiatry
Keyword:
身体症状症
,
somatic symptom disorder
,
SSD
,
内受容感覚
,
interoception
,
予測的処理モデル
,
predictive processing model
,
高齢者
,
older adults
,
計算論的精神医学
,
computational psychiatry
pp.1597-1604
発行日 2020年12月15日
Published Date 2020/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206236
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
抄録 本稿では,内受容感覚の脳神経基盤に関する知見を紹介し,身体症状症の病態が内受容感覚の予測的処理に基づく予測誤差の修正困難さに起因している可能性を示唆する。内受容感覚とはホメオスタシスを維持する内臓からの求心性フィードバックの感覚,知覚,および気付きから生じる身体内部感覚の総称である。内受容感覚には生理的な反応を反映している内受容感覚の正確さ,認知的な反応を反映している内受容感覚の気付き,内受容感覚に対するメタ認知的な反応を反映している内受容感覚に対する自信といった3つの次元に分類されている。内受容感覚が感情の創発や制御に深く関わっていることが明らかにされてきたが,内受容感覚と身体症状症との関連性はほとんど検討されていない。内受容感覚に関する知見は,身体症状症の病態理解を促進させ,身体症状症の診断および治療に貢献する可能性がある。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.