特集 SUN☺D臨床試験のインパクト—日本初の医師主導型抗うつ薬大規模臨床試験から学ぶ
SUN☺D臨床試験に参加して行った工夫
熊本大学病院から
藤瀬 昇
1
1熊本大学保健センター
pp.53
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205977
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私自身もそうでしたが,それまで熊本では多施設共同の介入研究というのは殆ど実施されたことがなく,熊本サイトの参加医師たちには最初は多少戸惑いなどもあったことと思います。2011年9月24日,京都から古川先生が来熊され,熊本大学神経精神科の会議室に熊本の11名の精神科医と5名のCRC候補者が一堂に会し,スタートアップミーテイングが開催されました。正直どの程度,患者さんに協力してもらえるのか全く見当がつきませんでした。最初は恐る恐るといった感じでしたが,CRCさんとの役割分担の要領に慣れてくると,意外に(?)患者さんに参加してもらえることが分かりました。ですので,日頃からCRCさんとの小まめな情報共有を心掛けるようになりました。月1回の各サイト責任者によるSkype電話会議もとても新鮮でした。
我々が行った工夫としては,当時から熊本大学神経精神科は,県内で認知症医療の地域連携システムを展開し,その中核病院として多くの新患患者が受診しており,中にはpseudo-dementiaが疑われるケースもときどきあり,そのような症例を回してもらっていました。少しでも可能性のありそうな新患さんがいたら,いつでも連絡してもらえるよう科内で情報共有に努めていました。また,同時期に高齢者のうつ病専門外来も開設していましたので,75歳以下の未治療の新患さんはSUN☺Dに組み込めないかを最優先に診察していました。そういう状況でしたので,結果的に,高齢者の症例については比較的多くエントリーできたのではないかと思っています。
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