特集 SUN☺D臨床試験のインパクト—日本初の医師主導型抗うつ薬大規模臨床試験から学ぶ
SUN☺D臨床試験に参加して行った工夫
高知大学医学部附属病院から
藤田 博一
1
1高知大学医学部医学教育創造・推進室
pp.52
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205976
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どこの大学でも大きな違いはないと思われるが,大学病院ではさまざまな臨床研究や臨床治験がいくつも同時並行で実施されている。そのため,このSUN☺D研究を医局員に説明して理解してもらったとしても,実際の診察室で,多くの患者さんを診察しながら,「この患者さんはSUN☺D研究の対象になる」と気付いてもらうことはとても困難である。後から気付いて,「次の診察でエントリーを検討しよう」と思うかもしれないが,1か月,2か月先の受診の時はすでに忘れられてしまう…という状況に陥りがちである。たとえ診察場面で気付いてもらえたとしても,「どこに連絡したらいいんだろう…」「エントリー基準はどうなってるんだっけ?」といったことを担当医が悩んだ瞬間に,一歩踏み込んで患者さんに臨床研究の説明をするという作業のハードルが一気に上がってしまい,結果としてエントリーに繋がらなくなってしまう。
私たちは,診察室で瞬時に確認できるように,エントリー基準と連絡先など必要最小限の情報をA4用紙1枚にまとめ,ラミネート加工したものを各診察室に置いた。それだけでは,時間が経つと机の引き出しに埋もれてしまうので,CRC業務を担当してもらった専門職員に可能な限り外来に張り付いてもらい,その日の担当医に声掛けをしてもらった。また,エントリーした途端,主治医に膨大な事務作業が待っているとしたら,誰しもがエントリーを躊躇してしまうだろう。医師にしかできないことを厳選し,事務的な作業は必要最小限になるように工夫することも重要である。
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