特集 SUN☺D臨床試験のインパクト—日本初の医師主導型抗うつ薬大規模臨床試験から学ぶ
SUN☺D臨床試験に参加して行った工夫
名古屋市立大学病院から
近藤 真前
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野
pp.51
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205975
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医師主導の大規模臨床試験の地域センター責任者として最初に強く意識したことは,この臨床試験で検討する臨床疑問について自分自身も関心を持ち続け,研究協力の原動力にしていきたい,ということであった。主任研究者である古川壽亮先生からSUN☺Dの研究計画をお聞きしたとき,「この臨床疑問は日々の臨床の中で自分も常に持っているものであり,患者と臨床家にとってとても重要である。ぜひ結果が知りたい」と強く興味を抱いた。このような多施設大規模研究を遂行するには,何より主任研究者の意図や意思が十分にチーム全体に伝わることが重要であり,地域センター責任者も研究に対して同じ目線でかかわっていくことで,主任研究者と現場の医師やCRCとの連携を支えることができると考えた。振り返って考えてみると,そのような役割意識を持つことで,一つ一つの判断もスムーズに行えたのではないかと思われる。
また,地域センター責任者の役割は現場のCRCを支えることと考え,CRCとの連携に力を注いだつもりである。CRCは,各クリニックや病院で医師をバックアップしながら研究参加者である患者に一人ひとりの特徴や症状に配慮しながらかかわり,試験の円滑な遂行をサポートしているが,日々の業務の中ではさまざまな問題が生じる。CRCとの定期ミーティングで連携を深めながら諸問題を抽出し,必要なら上の指示を仰ぐ,という取り組みを続けた。特に独自の工夫を行ったわけではなく,地域センター責任者として現場と研究者を繋ぐ役割を着実に行うことを意識した。その過程で,臨床試験にはさまざまな問題が生じ,それを解決しながら進めていくことを身をもって体験できたことは貴重な機会となった。
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