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特集 トラウマインフォームドケアと小児期逆境体験
非行とトラウマ—自閉スペクトラム症のケースを念頭に
Delinquency and Trauma:with focus on cases with autism spectrum disorder
天野 玉記
1
,
十一 元三
1,2
Tamaki Amano
1
,
Motomi Toichi
1,2
1特定非営利活動法人神経発達症研究推進機構
2京都大学大学院医学研究科人間健康科学系
1The Organization for Promoting Neurodevelopmental Disorder Research, Kyoto, Japan
2Kyoto University Graduate School of Medicine, Faculty of Human Health Sciences
キーワード:
Delinquency
,
Trauma
,
PTSD
,
Autism spectrum disorder
,
Dissociation
Keyword:
Delinquency
,
Trauma
,
PTSD
,
Autism spectrum disorder
,
Dissociation
pp.1167-1172
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205916
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抄録 これまで非行の大きな背景として虐待をはじめとする生育環境の問題が指摘されてきた。そうすると,逆境的環境や事故・災害ほか各種被害により成長期にトラウマをかかえる場合,非行につながる行動がさらに生じやすくなることは十分予想される。本稿ではトラウマを負った若年成人の2事例を紹介し,トラウマが社会的問題行動を生む動因となり得ることを示した。事例Aでは虐待的な家庭環境,本人の発達特性への無理解,学校でのいじめなどがトラウマを生み,事例Bでは児童期に海難事故で父親を失ったことに関連してトラウマが生じており,両事例とも内在する強い怒りが自他への攻撃性につながっており,トラウマの治療とともに危険な攻撃性は鎮静化した。また,両事例とも自閉スペクトラム症を有するとともに解離症状を呈しており,事例ごとにPTSD症状の特徴を捉え,適した介入法を検討するには発達特性と解離に留意することが重要であると思われた。
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