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編集後記
M. S.
pp.988
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205890
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近年は,世界的に極端な天候が目立ちます。この梅雨は日本各地で日照不足が続き,東京では日照時間が3時間未満の日が20日間連続し,1961年の統計開始以来と報道されました。日照時間の地域差は思いのほか大きいようで,総務省統計局の都道府県別データ(「統計でみる都道府県のすがた2019」)によると,2017年の年間日照時間が最も長かったのは山梨県の2,357時間,最も短かったのは山形県の1,556時間となっています。世界の都市では,Wikipediaによると,アメリカ合衆国・ユマの年間日照時間が最も長くて4,000時間を超え,最も短いのはコーヒー豆の産地であるコロンビア・トトロで600時間余りしかないそうです。このように大きな差異が私たちの体や心に及ぼす影響はどんなものでしょうか。
私たちが浴びる光には,太陽による自然光だけでなく,照明による人工光もあり,一般照明に電気を利用するようになった19世紀末以降は,後者による影響が増しています。近年では,LED照明の急速な普及により,世界の夜は毎年2%ずつ明るくなっているとも言われています。過剰または不要な光によるさまざまな「光害」も問題にされつつあるところです。私たちが光を利用する目的や方法は枚挙にいとまがありませんが,神経科学でも,チャネルロドプシンなど光によって活性化されるタンパク分子を遺伝学的手法により特定の細胞に発現させ,その活動を光で操作する光遺伝学(optogenetics)が優れた実験手法として用いられています。ホタルなどの生物発光反応を触媒する酵素であるルシフェラーゼはin vivoイメージングなどに用いられます。
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