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特集 今再び問う,内因性精神疾患と心因性精神疾患の概念
反応性と内因性の境界にて—よみがえれ! うつ病の状況論
On the Border between Reactive Depression and Endogenous Depression: Return of the situation theory of depression
大前 晋
1
Susumu Ohmae
1
1国家公務員共済組合連合会虎の門病院精神科
1Department of Psychiatry, Federation of National Public Service Personal Mutual Aid Associations Affiliated Toranomon Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
Depression
,
Endogenous depression
,
Melancholic type
,
Personality
,
Situation
Keyword:
Depression
,
Endogenous depression
,
Melancholic type
,
Personality
,
Situation
pp.801-815
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205865
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抄録 うつ病は,正確にいえば反応性抑うつと内因性抑うつの境界上にある病型,すなわち軽症内因性うつ病である。それは軽症で,はじめは心理学的な出来事に動機づけられた反応性抑うつにみえる。しかし,いったん始まったあとは自律的な内因性の経過をとる。Schneiderは内因性抑うつの一次障害を,生命感情あるいは生気的感情の障害と定めた。第二次世界大戦以前のドイツでは,内因性抑うつの病因はあくまで遺伝体質にあり,心理学的な出来事は動機にとどまるとみなされた。しかし第二次大戦後は,病因として性格と状況の固有な関係性が注目されるようになった。Tellenbachは性格と状況の不即不離性に注目し,独自のメランコリー論を展開した。日本では,状況論の紹介とimipramineの発売とが相まって,独自のうつ病概念が定着した。現在の日本では,これらうつ病の理論的背景は忘れられつつある。しかし,反応性と内因性の二分法は,いまだ臨床上の有用性を失っていない。今後の基礎研究においても踏まえるべき理論である。
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