Japanese
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特集 精神医学における主観と主体
当事者の主体性を精神科医療が阻害しないためには
To Stop Hindering Persons with Serious Mental Illness in Their Recovery
中西 三春
1
Miharu Nakanishi
1
1公益財団法人東京都医学総合研究所心の健康プロジェクト精神保健看護研究室
1Mental Health and Nursing Research Team, Mental Health Promotion Project, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, Tokyo, Japan
キーワード:
Empowerment
,
Intrinsic motivation
,
Recovery
,
Severe mental illness
,
Shared decision making
Keyword:
Empowerment
,
Intrinsic motivation
,
Recovery
,
Severe mental illness
,
Shared decision making
pp.517-523
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205828
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抄録 自分の人生が自分のものではない・誰かに決められた道を歩かされていると感じるなら,その人の主体性は何かに阻害されている。精神疾患における主体性の回復とは,精神疾患を持ちながら生きる当事者が,今の自分を前の自分と断絶した存在ではなくつながったものと感じられることである。そこで従事者は当事者が主体的に選び取る人生の目標(価値)を当事者と共有して,治療に関する共同意思決定を行う姿勢が求められる。いかに初発時の対応で当事者の内発的動機付けを高め,その後の経過で学習性無力感を防止できるかが重要になる。しかし非同意入院の時点で当事者にとって治療は強制されるものとなり,共同意思決定がうまくいかない。隔離や拘束など行動制限の実施も当事者の主体性に有害な影響を及ぼす。当事者が地域社会の一員であり続けられるよう支援する構造が現行の精神科医療には欠けており,ピアスタッフの活用が今後の課題である。
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