Japanese
English
特集 精神医学における主観と主体
主体性の精神医学—精神病理学と生物学とが重なるところ
Psychiatry of Subjectivity: Linking psychopathology and biology
前田 貴記
1
Takaki Maeda
1
1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
Subject
,
Subjectivity
,
Agent
,
Agency
,
Awareness
,
Inter-subjectivity
Keyword:
Subject
,
Subjectivity
,
Agent
,
Agency
,
Awareness
,
Inter-subjectivity
pp.507-515
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205827
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抄録 主体性には,生物学的な次元と,主体性の“自覚”という人間学的な次元とがあるが,精神医学においては,前者は生物学によって,後者は精神病理学によって扱うことになり,ここに両方法論の連繋の可能性がある。本稿では,主体性という観点から各精神疾患の症状論,病態論,治療回復論について論考していくための,下作りとしての総論を述べる。主体性は,精神医学にとどまらず,およそ人間の営みを扱うあらゆる学問領域において問題となり得るもので,特に,現代に生きる我々は,情報通信技術の発展によって,いわば“繋がり過ぎ”の人工環境の中で生きているが,主体性の弱化が生じている可能性がある。このような新たな人工環境において,人間が安心して,健康に,そして幸福に生きられるように,精神医学の立場から,主体性のありよう,そしてあるべきようについて考え,社会に対して提言していくことが求められてくるであろう。これは予防精神医学の試みとなろう。主体性という主題が,今後の精神医学の進展のための,一つの切り口となればと思う。
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