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特集 こころの発達の問題に関する“古典”をふりかえる
強迫症の古典—『強迫パーソナリティ(Salzman L, 1968)』を読む
After Reading “Obsessive Personality(Salzman L, 1968)”
小平 雅基
1
,
齋藤 真樹子
2
Masaki Kodaira
1
,
Makiko Saito
2
1社会福祉法人恩賜財団母子愛育会愛育クリニック小児精神保健科
2社会福祉法人恩賜財団母子愛育会愛育クリニック医療福祉室
1The Department of Child and Adolescent Mental Health, AIIKU Clinic, Imperial Gift Foundation Boshi-Aiiku-kai, Tokyo, Japan
2The Department of Medical Welfare, AIIKU Clinic, Imperial Gift Foundation Boshi-Aiiku-kai
キーワード:
Obsessive compulsive disorder
,
OCD
,
Obsessive personality
,
Exposure and response prevention
,
ERP
,
Mindfulness
Keyword:
Obsessive compulsive disorder
,
OCD
,
Obsessive personality
,
Exposure and response prevention
,
ERP
,
Mindfulness
pp.1111-1118
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205696
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はじめに
強迫症(obsessive compulsive disorder:OCD)は従来,強迫“神経症”とされていた通り,発症には心理的な要因が強く影響していると考えられていた。また,過度に几帳面,完璧主義,細かいことにこだわる,融通が利きにくいなどの性格は強迫性格と呼ばれ,強迫症の病前性格としてよく用いられていた。しかし,昨今では強迫症患者の病前性格は一様ではないと考えられており(たとえば,不注意さを主訴とする注意欠如・多動症の患者における強迫症の併存などはその代表と言えるかもしれない),心理的,社会的,生物学的要因が複合的に組み合わさって発症に至ると理解されている13)。よってevidence-based practiceにおいては,強迫症状に焦点化された議論が進み,強迫症の病前性格についてはうつ病におけるメランコリー親和性と同様,あまり注目されなくなってきている。しかし,実際の臨床においては強迫症患者の背景にある特有の性格傾向や気質について吟味・検討をすることは十分に意義があると思われ,今回は強迫症の病前性格についてまで論述した『強迫パーソナリティ』14)を題材に取り上げることとした。
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