書評
—清水將之 著—私説 児童精神医学史—子どもの未来に希望はあるか
高柳 みずほ
1
1有沢橋病院精神科
pp.1044
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205684
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本書は,1965年にわが国で初めての精神科思春期外来を開設されて以来,児童・思春期精神医学のパイオニアとして学会を牽引してこられた著者による児童精神医学史である。その題名にわざわざ私説とつけてあるのは,本書が網羅的に歴史を書き綴ったものではなく,「子ども臨床」という造語が示すように,著者自身の児童精神医学観が裏打ちされているからであろう。
本書は二部構成になっている。第一部「子どもの未来を考える」では,「子どものこれから,日本では」,「不登校の歴史」,「子どもと災害」という構成で著者自身の臨床医としての歩みを振り返りつつ,子ども観が年代によってどう変化してきたかを論じている。著者の学校精神保健における取り組みや,あすなろ学園での多職種連携医療など,他領域の関係者と「子どもを見守る大人同士」として協働的関係を作り上げる際の心構えなども述べられている。
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