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特集 サイコオンコロジー
ケミカルコーピング—がん疼痛緩和における新しい問題
Chemical Coping
上村 恵一
1
Keiichi Uemura
1
1国立病院機構北海道医療センター精神科
1Department of Psychiatry, Hokkaido Medical Center, Sapporo, Japan
キーワード:
Chemical coping
,
Opioid
,
Addiction
,
Pseudo-addiction
Keyword:
Chemical coping
,
Opioid
,
Addiction
,
Pseudo-addiction
pp.509-515
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205596
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はじめに
ケミカルコーピングという聞き慣れない言葉が,最近緩和ケアの領域で聞かれるようになっている。Brueraらは「苦悩する終末期のがん患者にみられる薬の使用による不適切なストレスの対処法」1)と定義している。精神科医にとってコーピングという言葉は馴染み深い用語である。ケミカルコーピングとは,本来の目的外にオピオイド鎮痛薬が使用されてしまった不適切なコーピングを指している。
・オピオイドのレスキュー使用回数が極度に増えている(たとえば1日20回以上)
・オピオイドによると思われる眠気などの副作用が出現しているのに増量を希望する
・不安なときに,眠れないときに,それらの症状の緩和を目的にオピオイドを使用してしまう
緩和ケアチームに関わる精神科医は,このような患者をオピオイドの依存症を疑う患者として診察した経験があるのではないだろうか。これらの症例はケミカルコーピングを疑うきっかけとなる。
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