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シンポジウム 精神医学研究の到達点と展望
依存性薬物作用の解明が拓く新しい精神医学
Update of Psychiatry via Uunderstanding Effects of Substances of Abuse
池田 和隆
1
Kazutaka IKEDA
1
1東京都医学総合研究所依存性薬物プロジェクト
1Research Project for Addictive Substances, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, Tokyo, Japan
キーワード:
Substances of abuse
,
NMDA receptor
,
Opioid
,
Analgesia
,
AD/HD
Keyword:
Substances of abuse
,
NMDA receptor
,
Opioid
,
Analgesia
,
AD/HD
pp.1189-1194
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102048
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依存性薬物と精神疾患
依存性薬物は,物質使用障害のみならず,広く精神疾患と関連している。覚せい剤であるメタンフェタミンや幻覚剤であるフェンサイクリジン(PCP)の摂取が統合失調症様の症状を引き起こすことはよく知られている。また,アルコールや各種の依存性薬物の摂取は,うつ病の重大なリスクファクターである。このように依存性薬物が精神疾患を誘発する一方で,依存性薬物は精神疾患の治療薬としても広く用いられている。メチルフェニデートは注意欠如多動性障害(AD/HD)やナルコレプシーの治療薬であり,ベンゾジアゼピン系の薬物は睡眠薬,抗不安薬,アルコール依存離脱期の治療薬であり,モルヒネなどのオピオイドはがん性疼痛治療に欠かせない精神腫瘍学における主要な薬剤である。このように依存性薬物は,人類にとって諸刃の剣であり,さまざまな精神疾患と密接に関わっている。本稿では,筆者らの最近の研究成果を交えながら,依存性薬物の作用機序の解明が新たな精神医学の展開につながる可能性を論じたい。
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