Japanese
English
特集 精神科診療におけるてんかん
てんかんと精神病性障害
Psychotic Disorders Associated with Epilepsy
山田 了士
1
Norihito Yamada
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経病態学
1Department of Neuropsychiatry, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences, Okayama, Japan
キーワード:
Epilepsy
,
Psychosis
,
Antiepileptic drugs
,
Bidirectional relation
,
Common biological basis
Keyword:
Epilepsy
,
Psychosis
,
Antiepileptic drugs
,
Bidirectional relation
,
Common biological basis
pp.359-366
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205573
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はじめに
慢性疾患治療の目標が生活の質に大きくシフトしている現代にあって,てんかん診療においても,精神病や抑うつといった精神症状の適切な治療は特に重要なことの一つである。てんかんと精神病の関連あるいは類縁性については19世紀から関心が持たれ,20世紀には多くの重要な指摘がなされてきている。しかし,実臨床での関心は精神科領域でも神経内科領域でもその重要性の割にまだ低いのが現状である。それでも,わが国では数々の研究者や臨床家が病態解明に大きく貢献してきた経緯がある。
てんかんにおける精神病の有病率は5.6%(対照とのオッズ比は7.8)と一般よりもかなり高く,特に側頭葉てんかんでは精神病の有病率はさらに上がって7%に至るという4)。てんかんの合併精神障害の頻度自体は,気分障害や不安障害,あるいは発達障害などのほうが高いかもしれないが,精神病性障害のもたらす生活への影響が重大であるのは言うまでもなく,また精神病性障害はてんかんおよびてんかん発作との関連における成立機序を考える上で,それぞれの疾患の本態にかかわる重要な問題を含む可能性がある。本稿では,まずてんかんに関連する精神病性障害を概説し,その成立機序に関する最近の知見も含めて考察してみたい。
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