巻頭言
うつ病に対するrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)治療の認可後の課題
鵜飼 聡
1
1和歌山県立医科大学医学部神経精神医学教室
pp.990-991
発行日 2017年11月15日
Published Date 2017/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205479
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国内でrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)がうつ病の治療機器として間もなく認可されるとのことである。うつ病の治療は薬物療法と広義の精神療法が両輪となり,特別な条件の下ではmECT(修正型電気けいれん療法)も選択されるというのが現在の一般的な考え方であろう。この認可によって,うつ病の治療にいわゆる身体療法のオプションがひとつ加わることになる。うつ病に対するrTMS治療は多施設による大規模なRCTの結果を受けて,米国では2008年にFDAによって認可された。国内でも早期の認可が期待されたものの,これまで認可されず大規模なRCTも行われてこなかったが,関係者の努力と活動が実ってようやく認可に手の届くところまで来たわけである。
一臨床家の立場からは,rTMSの導入によってこれまでの治療では軽快,寛解に至ることができなかった患者さんが一人でも多く寛解に至り,従前の社会機能を取り戻していただきたいと願うところである。rTMSが適切に普及し最大の効果を発揮するためにも,rTMSの認可に合わせて,これまでに得られた有効性と安全性のエビデンスに基づいてrTMSの適応となる患者さんの要件やrTMSの刺激条件,有害事象,費用対効果など,うつ病の治療全体の中でのrTMSの立ち位置が認可に伴うガイドラインの中でできるだけ明確に示されることを期待したい。
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