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特集 MRIのT2・FLAIR画像での白質高信号の意味を読み解く
認知症における白質高信号の病態生理への影響
Impact on Pathophysiology of Cerebral White Matter Changes in Dementia
菱川 望
1
,
阿部 康二
1
Nozomi HISHIKAWA
1
,
Koji ABE
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学
1Department of Neurology, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences, Okayama Japan
キーワード:
Alzheimer's disease
,
White matter change
,
Cognitive function
,
Affective function
,
Vascular risk factors
Keyword:
Alzheimer's disease
,
White matter change
,
Cognitive function
,
Affective function
,
Vascular risk factors
pp.643-650
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205421
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はじめに
厚生労働省が2016年12月に発表した2015年度人口動態統計によると,女性の死因のうち“アルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)”がはじめて上位10位に入り,“血管性および詳細不明の認知症”とともに死因の上位を占めるようになってきたことで,ADを含む認知症が単なる知的機能の低下ではなく,死亡率の高い全身疾患として認識されつつある。現在,欧米では認知症の罹患率が減少しているという報告もあるが,高齢化率が進んでいるわが国では,今後もしばらくは高齢者認知症患者数の増加が見込まれている。
当院神経内科に受診し,認知機能低下が疑われた患者1,554人の疾患別による内訳は,ADが62%,軽度認知機能障害(mild cognitive impairment;MCI)が12%,血管性認知症(vascular dementia;VaD)が9%,パーキンソン病に伴う認知症(Parkinson's disease with dementia;PDD)・レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)が6%であり,特に後期高齢者である75歳以上では,AD 69%,MCIと合わせて80%を占め10),今後人口の高齢化とともにADやMCIが増加することが予想される。本稿では,高齢化とともに患者数が増加するであろうADやMCI,また神経変性疾患の代表的疾患であるPDにおける認知機能や情動機能と白質病変との関連について,さらに血管性リスクファクターの一つである糖尿病における白質病変を中心に述べる。
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