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特集 精神科臨床にみる家庭・家族の現在—何が変わり何が変わらないのか?
ある変化—治療者自身と家族への視点
Some Notes on the Changes of Therapist and Views on Family
池田 暁史
1
Akifumi IKEDA
1
1文教大学人間科学部臨床心理学科
1Department of Clinical Psychology, Faculty of Human Sciences, Bunkyo University, Koshigaya, Japan
キーワード:
Family
,
Intersubjectivity
,
Life cycle
,
Therapist
Keyword:
Family
,
Intersubjectivity
,
Life cycle
,
Therapist
pp.753-758
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205228
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はじめに
精神科臨床で出会う家族,あるいは精神科臨床から垣間見える家庭が現在どうなっているのか。以前と較べて何か違いがあるのか。あるとしたらそれは何で,何故そのような違いが生じているのか。本特集で与えられたこうした問いについて考察を進める前に,私は自身に期待されているであろう役割を明確にしておきたい。端的にいえば,それは私の限界を示すことでもある。
恐らく一番重要なことは,私が家族の専門家ではないということである。特定の家族療法の訓練を受けたことはないし,社会学的あるいは文化論的に家族にアプローチするような経験も積んでいない。したがって何らかの体系立った方法で家族について論じることはできそうにない。もっとも,それは私が家族を診ない臨床家であることを意味するものではない。むしろ私自身は,通常の保険診療において十分熱心に家族と関わる臨床家であると思っている。ただしそれは,私が学んできた精神分析に基づく家族力動の理解を中心に,多少のシステム論的知識や集団療法の経験などを組み合わせたものによるアプローチに過ぎない。したがって,これから論じることは,良くも悪くもパーソナルな色彩の強い「私の家族論」であることをお断りしておきたい。
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