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創刊30周年記念特集 精神医学—最近の進歩 第1部
カルバマゼピンの感情障害にたいする治療効果と予防効果—研究の経過と最近の発展
Antimanic and Prophylactic Efficacies of Carbamazepine on Affective Disorders: History and recent advances of the research
大熊 輝雄
1
Teruo Okuma
1
1国立精神・神経センター武蔵病院
1National Center Hospital for Mental, Nervous and Muscular Disorders, National Center of Neurology and Psychiatry
pp.307-318
発行日 1988年3月15日
Published Date 1988/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204488
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I.はじめに
カルバマゼピン(carbamazepine,以下CBZ)は抗うつ薬イミプラミンに似た構造をもつ三環系化合物で,1960年代に抗てんかん薬として開発された。CBZは最初主に複雑部分発作(精神運動発作)に有効であるとされてきたが,全般強直間代発作,混合発作にも有効であり,てんかんに伴う精神障害や性格障害の治療にも応用されてきた。ところが1970年代になってから,CBZが感情障害(affective disorders,躁うつ病)の躁状態およびうつ状態の治療,および躁うつ病相発現予防に有効であることがわが国の研究者によって発見され,その後十数年を経た現在ではCBZの感情障害にたいする治療効果,予防効果は世界的に認められ,感情障害の治療にひとつの新しい領域を加えつつある。
本稿では,この方面の研究の歴史の概略をふり返り,最近の問題点に触れてみたい。
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