Japanese
English
研究と報告
母娘にみられた多種薬剤嗜好例—とくにリタリン依存
A Case Report of a Poly-drug Addicted Mother with Her Daughter: particularly on her ritalin dependency
折田 美佐枝
1
,
柴田 洋子
1
,
加藤 能男
1
Misae Orita
1
,
Yoko Shibata
1
,
Yoshio Kato
1
1東邦大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Toho University School of Medicine
キーワード:
Ritalin dependency
,
Poly-drug user
,
Withdrawal symptoms
,
Folie a deux
Keyword:
Ritalin dependency
,
Poly-drug user
,
Withdrawal symptoms
,
Folie a deux
pp.411-416
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204317
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抄録 症例は51歳の主婦で,約10年前から全身倦怠,不眠などを理由としてbellergal,chlordiazepoxideを精神科医から与薬され,さらに7年前からritalinが追加されて以来,とくにritalinに強く依存するようになった。彼女の独り娘は先天性股関節脱臼のため高校を中退し,その負目のために抑うつ的となり,母親を真似て種々の抗不安薬を服用するようになった。娘もやがてritalinに依存するようになり,母娘ともどもに服薬をたのしんで無為,臥床の日々を送るうち,娘の方は薬物が原因と思われる突然死を遂げた。娘の死後母親は薬物による自殺未遂で当科に入院し,著明な離脱症状を経て,ようやく長期にわたる薬物依存から脱却した。
この症例について,ritalinの依存形成,「2人での」依存形成について文献的考察を行い,最後に精神科薬剤による依存の早期発見の重要性,ならびに家族の協力(この症例においては夫)や啓蒙の必要性を述べた。
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