Japanese
English
研究と報告
Folie à deuxとCapgras症候群とが同時に認められた1家族例
A Family of Simultaneous Folie à Deux and Capgras Syndrome
鈴木 ひろ子
1,2
,
柏瀬 宏隆
3
Hiroko Suzuki
1,2
,
Hirotaka Kashiwase
3
1上智大学文学研究科
2東芝林間病院精神神経科
3防衛医科大学校精神科学教室
1Department of Psychology, Sophia University
2Department of Psychiatry, Toshiba Rinkan Hospital
3Department of Psychiatry, National Defence Medical College
キーワード:
Folie a deux
,
Capgras syndrome
,
Family dynamics
,
Symbiotic relationship
Keyword:
Folie a deux
,
Capgras syndrome
,
Family dynamics
,
Symbiotic relationship
pp.957-964
発行日 1992年9月15日
Published Date 1992/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903307
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【抄録】 姉(46歳)と妹(40歳)が被害関係妄想を共有してfolie à deux状態となり,さらに姉には父親や妹に対するCapgras症候群も現れたケースについて,その経過を報告した。
この姉妹(両者とも分裂病)はそれまで交互に再発を繰り返してきていたが,社会からの孤立を契機にほほ同時に再発して同じ妄想を共有し,さらに84歳の父親もその妄想に巻き込まれ,folie en familleに至っている。その経過中に姉が,父親や妹を「偽もの」と思い,妹も一時的ではあったが,姉とともに父親を「偽もの」と攻撃し,姉のCapgras症候群をも共有した。
このようにfolie à deuxとCapgras症候群が同時に現れた症例は,欧米でも3例が報告されているにすぎず,我が国では未だ報告がない。
本症例の成立機制や,folie à deuxとCapgras症候群との同時出現に関しては,その背景に複雑な家族力動があると考えられた。
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