Japanese
English
研究と報告
老年期のせん妄の臨床的研究
A Clinical Study of Delirium in the Elderly
永野 修
1
,
植木 昭紀
1
,
高内 茂
1
,
三好 功峰
1
Osamu Nagano
1
,
Akinori Ueki
1
,
Shigeru Takauchi
1
,
Koho Miyoshi
1
1兵庫医科大学精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Hyogo College of Medicine
キーワード:
Delirium
,
Elderly group
,
Brain atrophy
,
Dementia
,
Prognosis
Keyword:
Delirium
,
Elderly group
,
Brain atrophy
,
Dementia
,
Prognosis
pp.403-409
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204316
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 最近3年間にせん妄の診断のなされた125例を老年群79例と非老年群46例に分け,老年群のせん妄状態の臨床的特微を検討した。せん妄の基礎疾患は,非老年群では,生命にかかわるような重篤な基礎疾患が多かった。老年群では,非老年群のような重篤な基礎疾患を持たなくても,軽微な基礎疾患を背景に精神的誘因が重なり,せん妄が生じやすい傾向がみられた。さらに,老年群のせん妄を対象とした脳CT上の脳萎縮は,画像解析によって対照群に比し有意の脳萎縮の進行を示した。この脳萎縮は軽度のものであるが,老年群に多くみられた視聴覚障害とあわせて,せん妄発現の準備状態として重要な要素であると考えられた。またせん妄発症6カ月後の予後を調査すると,37例は30%死亡していた。さらに,老年群のせん妄患者では27例34%に痴呆症状を認めた。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.