映画紹介
娘・妻・母
外輪 哲也
pp.52
発行日 1960年6月1日
Published Date 1960/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201930
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最近「戦争物」に続いて「女性映画」と呼ばれる作品が盛んに製作され始めた.この作品はその種の1つ.井手俊郎,松山善三が共同執筆し,「女が階段を上る時」でキメのこまかい演出を見せた成瀬巳喜男がメガフオンをとつて,中流家庭の坂西一家の平凡な日常事から,娘,妻,母と,種々の立場にある女の姿をとらえようとしている.
坂西家には,母親あき(三益愛子)を中心に,会社の部長をやつている長男勇一郎(森雅之)とその妻和子(高峰秀子)その子供の義郎,それに何事もドライに割り切る末娘春子(団令子)が住んでいる.日本橋の商店に嫁いだ長女早苗(原節子)が夫,姑の仲がうまく行かず,里帰りをしている間に,事故で夫を失なう.次男礼二(宝田明)は銀座にスタジオを持つカメラマン,階下で年上の妻美枝(淡路恵子)が喫茶店を経営している.次女薫(草笛光子)は中学校教師英隆(小泉博)のところに嫁ぎ,幼稚園の保母をやつて共稼ぎをしているが,やきもちやきの夫の母加代(杉村春子)と別居するためにアパートを捜している.
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