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展望
ジル・ドゥ・ラ・トゥーレット症状群に関する最近の臨床薬理学的および生化学的知見
Clinico-pharmacological and Biochemical Studies of Gilles de la Tourette Syndrome: A review
野本 文幸
1
,
町山 幸輝
1
Fumiyuki Nomoto
1
,
Yukiteru Machiyama
1
1群馬大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Gunma University School of Medicine
pp.746-759
発行日 1985年7月15日
Published Date 1985/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203972
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I.はじめに
ジル・ドゥ・ラ・トゥーレット症状群は,1885年にGilies de la Tourette47)が汚言症を伴い難治性の不随意運動を示す9例を報告して以来注目されている疾患である。本症状群はGilles de la Touretteが報告した当時は遺伝性の器質性疾患と考えられていたが47),その後チック症の特殊な型とされたために心因が重視されるようになっていた101)。この間,精神療法を中心に抗精神病剤,抗けいれん剤,抗うつ剤,抗不安剤,抗パーキンソン剤などの有効例の報告はあったが,確立された特異的な治療法は見出されなかった101,114)。
1961年にSeignot98)がハロペリドールの有効例を報告したことから,難治性の本症状群に対する薬物療法,特にドパミン受容体遮断剤の有効性が注目され,それとともに改めて器質因が関心を集めるようになった。近年,Shapiroら101)の研究を初めとして,従来極めて稀とされていた本症状群の報告が増加するにつれ,家族研究9,50,58,81,83,87)や脳波学的検討78,82,84,101)から生物学的要因の関与が示唆されている。加えて臨床薬理学的および生化学的研究により本症状群に中枢神経系神経伝達物質の障害があることが考えられている。
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