Japanese
English
研究と報告
分裂病者に対する家族史的家族療法の試み
Family Therapy for a Schizophrenic Patient: A treatment by analysis of the family history over several generations
長谷川 憲一
1
,
伊勢田 堯
1
,
井上 新平
1
,
中下 美木夫
1
,
近藤 智恵子
1
Kenichi Hasegawa
1
,
Takashi Iseda
1
,
Shimpei Inoue
1
,
Mikio Nakashita
1
,
Chieko Kondo
1
1群馬大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Gunma University School of Medicine
キーワード:
Case study
,
Schizophrenia
,
Family therapy
,
Family life history
,
Problem-solving
Keyword:
Case study
,
Schizophrenia
,
Family therapy
,
Family life history
,
Problem-solving
pp.545-552
発行日 1985年5月15日
Published Date 1985/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203941
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抄録 筆者らのいう「家族史的家族療法」を試みた1例を報告する。患者は26歳男子破爪型分裂病者で老舗の長男であった。「一流」大学への進学にこだわり続けるため生活に進展がみられず,種々の薬物療法や生活臨床的働きかけも効果がなく,発症から10年を経て慢性化していた。筆者らは数世代にわたる家族史を聴取した結果,患者が「一流」大学にこだわるのは祖母の分家優先の家族運営に対抗する意味を持っているものと分析した。「一流」大学進学が困難となった段階では,本家と分家に分裂した家を再統一すれば祖母に対抗する必要もなくなるのではないかと判断し,家族とともに再統一の努力をした。その結果,患者は店の跡継ぎとして積極的になり,病状も劇的に改善した。
従来の生活臨床的手法で難治の症例に対して「家族史的家族療法」は,新たな治療の展開の可能性を示唆しているのではないかと考えた。
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