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特集 精神分裂病の成因と治療—東京都精神医学総合研究所 第12回シンポジウムから
分裂病モデルとしての6-hydroxydopamine投与動物
A Study of Schizophrenia: From animal experiments with 6-hydroxydopamine
山本 健一
1
Kenichi Yamamoto
1
1東京都精神医学総合研究所神経生理研究室
1Division of Neurophysiology, Psychiatric Research Institute of Tokyo
pp.511-520
発行日 1985年5月15日
Published Date 1985/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203938
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I.序
戦後の日本を見舞った人類初の覚醒剤の大流行の中で,松沢病院の臺らは,覚醒剤中毒と分裂病の類似性に着眼し,これを分裂病の生物学的研究の足がかりとした1)。その後の研究結果,覚醒剤はcatecholamine(CA)の放出促進物質であり2),その誘発する異常行動の多くはCAの合成阻害剤であるα-methylparatyrosineの投与で抑えられることが分ってきた3)。分裂病や覚醒剤中毒に効く神経安定薬の作用機序も,promethazine(phenothiazine系薬物だが抗分裂病作用がない)の薬理作用との比較などから,やはりCA系を介することが確からしくなってきている4)。
これらの根拠から,分裂病症状の発現機序として,脳内CA系の異常が強く疑われているのは周知のとおりである5)。もしこのCA異常説が正しいとすれば,CA系にもっと特異的に作用する他の薬物によっても,分裂病症状の少なくとも一部は,再現できるはずである。ここで述べる6-hydroxydopamine(6-OHDA)は,その構造上の類似性の故に,CAニューロンに選択的に取り込まれ,その神経終末を変性脱落させるとともに6),その代償としてシナプス後膜の除神経過敏を引き起こす物質である7)。6-OHDAと分裂病研究の関係には,次のような経緯がある。
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