巻頭言
精神分裂病の医療モデル概念
佐藤 光源
1
1東北大学医学部精神医学
pp.338-339
発行日 1991年4月15日
Published Date 1991/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903027
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最近,臨床実習の終わりに教授室で学生とレポート・コメントをしているが,ついでに「とは何か」問答をすることが多い。精神分裂病とは何か,精神病とは何か,といった類で,私見でもよいから一般の人に判る言葉で,簡潔に答えるよう求めてみる。どのような認識で卒業し,医師になっていくのか確かめておきたいというのが,その動機である。
分裂病とは何かという問いには,原因不明な,進行性に人格が障害される病気という答えがやはり多い。一方,実習で分裂病と診断された患者が予想外に多様であり,対人接触の保たれた患者が含まれていたことや発症に状況因があったこと,あるいはかなりの患者がその精神病状態を「本来の自分とは違った状態」として人格違和的にとらえていたことなどを理由に,早発痴呆的な分裂病概念に抵抗を感じるという指摘も少なくない。人格と精神病エピソードを分けてとらえるCiompi, L.(図)やZubin, J. らの分裂病概念を紹介すると,多くの学生がかなりの関心を示す。そして,なぜ精神病エピソードが起こり,再発しやすいのかという脆弱性が話題になり,研究や精神医療の現状へと関心を広げてゆく。学生や一般の人にきちんと認識できるような分裂病概念の必要性を痛感する。
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