Japanese
English
短報
下肢切断後に蛇憑きを呈した1症例
A Case Study of Snake-possession after Amputation through Thigh
渡辺 雅子
1
,
渡辺 裕貴
1
Masako Watanabe
1
,
Yutaka Watanabe
1
1鹿児島大学神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Kagoshima University
pp.524-526
発行日 1984年5月15日
Published Date 1984/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203762
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I.はじめに
憑依状態は,精神分裂病,非定型精神病,祈祷性精神病,ヒステリーなど多くの病態に現われ,広い臨床的スペクトルを有し6),これまで精神病理学2,4,5,11)のみならず,社会文化精神医学5,6,9)民俗学10,13)などの各方面から詳細な研究がなされいる。宮本6)は,憑依状態を神仏や祖霊・人間霊による憑依と,動物霊による憑依に大別しており,近年動物霊の憑依事例の発生をみることが少なく,神仏や祖霊、人間霊による憑依と比較して稀であると述べている。現在までの報告によると1〜3,7,12,14),憑依する動物霊としては,狐,犬神のほかに,エズナ,イタチ,狸,蛇,ハリネズミ,ウサギなどがあげられている。しかし,「蛇憑き」はわずかに稲田ら2)の報告のみで,非常に稀である。
筆者らは,下肢切断後に蛇の憑依状態を呈した1症例を経験したので報告する。
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