Japanese
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シリーズ 日本各地の憑依現象(10・付録)
南台湾の憑霊
Spirit Possession in Southern Taiwan
林 憲
1
Hsien RIN
1
1台湾大学医学院精神科
1Professor Emeritus, Department of Psychiatry, College of Medicine, National Taiwan University
pp.443-446
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904760
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はじめに
台湾・マレーシア・シンガポールのシャマン的職能者はすべて霊媒型であり,台湾の童乩(タンキー)も憑霊状態となって霊界と接触し役目を果たす人物で,広い意味でのシャマンと考えられる。彼らは各地の寺廟に所属しており,その数は万を超す。おびただしい神々のうち,英雄・賢者たちの霊と祖先霊が最も多く憑依し,タンキーはトランスに入り,儀礼を通じて死霊の意志の伝達・口寄せ・予言・卜占・治療の指南と処方などを行う。トランスに入ると激しく震え,動きまわり,無痛覚となって身体を損傷し,健忘を残すのが特徴である。
臨床で時折り憑依現象を見受けるのは,人々の信仰心のあつい南台湾地域だ。そこはタンキーが活躍し,不幸や病気を憑き物のせいとみなす,いわば憑き物文化が存在する所だ。本稿に紹介する例は高雄市の大学病院の光男医師が述べたもので,残念ながら筆者が直接観察したケースではない。報告されたケースは必ずしも憑依体験を持たない。タンキーの解釈によるものもあるようだ。
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