Japanese
English
研究と報告
成人ヒスチジン血症の1例—生化学的所見および言語能力の検討
A Case of Histidinemia: Biochemical findings and psycholinguistic abilities
武者 盛宏
1
,
石川 達
2
,
石井 厚
1
Morihiro Musha
1
,
Toru Ishikawa
2
,
Atsushi Ishii
1
1東北大学医学部精神医学教室
2東北会病院
1Department of Neuropsychiatry, Tohoku University School of Medicine
2Tohokukai Hospital
キーワード:
Histidinemia
,
Mental retardation
,
Psycholinguistic abilities
,
ITPA
Keyword:
Histidinemia
,
Mental retardation
,
Psycholinguistic abilities
,
ITPA
pp.297-302
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203734
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抄録 ヒスチジン血症は,臨床的にも生化学的にも変異の大きい代謝異常として知られている。
我々は重度の精神薄弱をもった22歳のヒスチジン血症例について報告した。生化学的にはclassical histidinemiaであった。患者は小さい頃より,構音障害はないが極めてゆっくりとした話し方をし,言語の理解はよい人であった。言語能力検査(ITPA)で,知能年齢(5歳0カ月)をはるかにしのぐ視覚性受容能力(9歳10カ月)を示し,一方,言語表現能力は3歳10カ月と低かった。このプロフィールは,単に知能障害のほかに,言語表現能力面での障害があると考えられた。
本代謝異常は発見当初から言語障害との関係で注目されてきたが,十分な検討がなされないままになっている。最近,ガラクトース血症で類似の報告があり,今後,精神発達遅滞の成因との関連で,この方面からの追求が必要であることを考察した。
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