Japanese
English
研究と報告
無動機症状群(amotivational syndrome)を呈した長期マリファナ重症使用患者の1症例
A Long-term Heavy Marihuana User with Amotivational Syndrome
渡辺 登
1,2
,
諸治 隆嗣
1
,
多田 幸司
2
Noboru Watanabe
1,2
,
Takashi Moroji
1
,
Kohji Tada
2
1(財)東京都精神医学総合研究所精神薬理部門
2日本大学医学部精神神経科教室
1Division of Psychopharmacology Psychiatric Research Institute of Tokyo
2Department of Neuropsychiatry, Nihon University School of Medicine
キーワード:
Long-term use of marihuana
,
Amotivational syndrome
Keyword:
Long-term use of marihuana
,
Amotivational syndrome
pp.291-296
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203733
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抄録 長期間大量のマリファナを喫煙し,無動機症状群と呼ばれている特異な精神症状を呈した1症例を経験したので報告する。本症例はSoueifのいうマリファナ重症使用患者であったといえる。長期間大量のマリファナ喫煙をしていた頃より,積極性の欠如や無関心,感情の平板化,言語能力の低下などの症状が出現し,喫煙中止後徐々に軽減してきた。この病像と経過は長期間大量のマリファナ使用者の16%にみられる無動機症状群ときわめて一致しており,本症例の精神症状は無動機症状群と考えられた。無動機症状群は類似した精神症状を呈する精神分裂病や器質性脳症状群と鑑別する必要があるが,本症例では対人接触が比較的円滑であること,知的能力が良く保たれ,神経学的に異常がなかったことから,本症例の精神症状はこれらの疾患によるものではないといえる。従来の報告を基に,無動機症状群の発現にはマリファナによる大脳辺縁系の機能低下が関与していると想定した。
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