Japanese
English
研究と報告
痴呆老年者の異常行動と睡眠障害に対する頭部低電圧パルス通電治療—二重盲検・交叉法による臨床治療試験
Efficiency of Transcranial Electric Treatment with the Apparatus (HESS-100) for Sleep and Behavior Disorders in Elderly Patients with Dementia; adouble blind cross-over study
大川 匡子
1
,
穂積 慧
2
,
菱川 泰夫
3
,
堀 浩
2
,
佐藤 謙助
4
Masako Okawa
1
,
Satoshi Hozumi
2
,
Yasuo Hishikawa
3
,
Hiroshi Hori
2
,
Kensuke Sato
4
1国立精神・神経センター精神保健研究所
2協和病院
3秋田大学医学部精神科学教室
4生体情報研究所
1National Institute of Mental Health
2Kyowa Hospital
3Department of Psychiatry, Akita University, School of Medicine
4Bioinformation Laboratory
キーワード:
Dementia
,
Sleep disorder
,
Delirium
,
Transcranial electric treatment
,
Electroencephalography
Keyword:
Dementia
,
Sleep disorder
,
Delirium
,
Transcranial electric treatment
,
Electroencephalography
pp.901-912
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903300
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【抄録】 入院中の痴呆患者のうちで,俳徊や興奮,せん妄などの様々な異常行動と睡眠障害を呈していた34名について,それらの症状に対する頭部通電による治療効果を二重盲検・交叉法で検討した。頭部通電装置はHESS-100型を使用した。通電は午前10時から20分間とした。対象患者を実通電先行群と偽通電先行群の2群に分け,実通電と偽通電をそれぞれ連日2週間ずつ行った。観察は通電前2週間,通電2週目(実通電または偽通電),通電4週目(前2週間と交叉した偽通電または実通電),終了後2週目とし,全体として8週間にわたり実施した。医師または看護者による個々の患者の観察項目は,睡眠,問題行動,知的精神機能,情緒,神経症状,日常生活動作,脳波などであり,特に睡眠については睡眠時間帯の記録を長期間にわたって行った。効果の判定を「情報量規準」1)を用いたχ2検定によって行ったところ,頭部通電により痴呆老年者の睡眠障害,行動面での自発性,問題行動などに著明な改善効果がみられた。脳波記録の結果より,頭部通電には日中の覚醒レベルを上昇させる効果があると判断された。
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