Japanese
English
特集 精神科診療所をめぐる諸問題
現実と課題
老人医療の立場から
Current Situation and Problems in Psychiatric Clinic: Geriatric care in psychiatric clinic
松田 孝治
1
Takaharu Matsuda
1
1松田クリニック
1Matsuda Clinic
pp.1101-1107
発行日 1982年10月15日
Published Date 1982/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203485
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I.はじめに
幾つかの精神科診療所では老人性痴呆症が熱心に取組まれているが,全体として,本稿のテーマの分野でまとまった報告をするほどの資料の蓄積はないと思う。むしろ,それができるほど医学制度が整備されていない。筆者はここでは,今後より一層重大なテーマとなる老人医療における精神医学的側面を精神科診療所の立場から,その役割と手法について考察する機会を与えられたと思っている。精神科診療所での日常診療,およびそれと地域医療や福祉などとのかかわり,筆者自身の医師会活動などの経験を報告し,そこから医療システムについて述べ,さらに医療と福祉の結合を社会システムとして展望してみたい。現場での医療が医療経済の支えがない限り実践できないことを述べたし,さらにこの問題が広く政治と密着していることにも言及した。第Ⅳ章を設けたのは,このあたりの理解なしに,箱神科診療所の問題の所在の理解がすすまないと考えたからである。ご理解を願いたい。
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