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特集 躁うつ病の生物学
神経内分泌と躁うつ病—成長ホルモン分泌反応
Neuroendocrinology and Affective Disorders: Growth Hormone Responses
高橋 三郎
1
Saburo Takahashi
1
1滋賀医科大学精神科
1Department of Psychiatry, Shiga University of Medical Science
pp.1295-1305
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203191
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躁うつ病における神経内分泌学的異常について,最も知見の蓄積されている成長ホルモン(GH)について,今日までに得られたデータを総説し今後の研究の方向を展望した。
躁うつ病患者について,
①インスリン低血糖に対する成長ホルモン分泌反応の低下,
②生体アミン代謝異常と成長ホルモン分泌の関係,
③TRH投与時の成長ホルモンの動態,
④情動や心理的ストレスに対する成長ホルモン分泌反応,
などに関する多くの知見が得られており,躁うつ病では,かなりの広がりをもつ神経内分泌学的異常が存在しているといえる。
一方,今後の問題としては,
1)生体アミン代謝においてその生物学的基礎に差があるといわれる躁うつ病,うつ病型(単極性)と躁うつ病,循環型(双極性)とで,成長ホルモン分泌反応に差があるか否かは,未だに明解ではなく,
2)1970年代後半より多くの研究者の興味はプロラクチン(PRL)と生体アミンとの関係に移っているが,PRLへの興味は,GH,TSHなど他の下垂体ホルモンの動態と対比させてみてはじめて,その性格が明らかになるといえよう。
1980年代には,「感情障害と神経内分泌」の問題は,視床下部ペプチドホルモンの知見が中心となってゆくであろうが,同時に,同一患者に種々の刺激を与えて多種の下垂体ホルモンを同時測定し,その神経内分泌学的異常の広がりと各ホルモン分泌異常の相互関係を知ることも今なお必要である。
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