Japanese
English
研究と報告
躁うつ病に対する炭酸リチウムの使用経験—(第2報)中毒について
The Use of Lithium Carbonate in Manic-Depressive Psychosis: (2) Lithium Poisoning
高橋 三郎
1
,
諸治 隆嗣
1
,
伊藤 耕三
1
,
諏訪 望
1
Saburo Takahashi
1
,
Takashi Moroji
1
,
Kozo Ito
1
,
Nozomi Suwa
1
1北海道大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiat. and Neurol., Hokkaido Univ. School of Med.
pp.611-617
発行日 1971年6月15日
Published Date 1971/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201766
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I.はじめに
リチウムは,すでに前世紀から痛風やてんかんに対する治療薬として登場し,さらに高血圧や腎疾患に対する低ナトリウム塩療法の患者に,食塩の代用として,欧米で長いあいだ使用されていた。さらに精神科領域において種々の興奮状態,とりわけ躁病性興奮に対し,特異な鎮静作用がCade(1949)により報告されて以来4),北欧,オーストラリア,米国などでその効果が確認され,これらの国々においてはすでにルーチンな治療薬として認められている。
一方わが国においては,2年前にはじめてその精神科領域における治験が報告され13)23),われわれもその効果について,とくに躁病における予防的効果を確認し報告した14)。しかしながら本剤投与による重篤な中毒例に関する報告は現在までのところみられない。最近われわれは本剤によると思われる中毒の2例を経験し,その特異な経過を追究する機会があったので,ここにその概要を述べることとする。
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