Japanese
English
研究と報告
ヒトの終夜睡眠脳波に及ぼすOxypertineの影響
Effects of Oxypertine on Human Sleep
小鳥居 衷
1
,
大川 敏彦
1
,
中沢 洋一
1
Makoto Kotorii
1
,
Toshihiko Ookawa
1
,
Yoichi Nakazawa
1
1久留米大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Kurume Univ., School of Medicine
pp.65-70
発行日 1978年1月15日
Published Date 1978/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202709
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I.はじめに
Oxypertine(5,6-dimethoxy-2-methyl-3-[2-(4-phenyl-1-piperazinyl) ethyl]indole)はインドール核とフェニールピペラジン核とを結び合わせたような基本構造をもち,Archerらによって開発された抗精神病薬物である。われわれがoxypertineに特に興味をひかれたのは,従来のphenothiazine系あるいはbutyrophenone系の抗精神病薬物とは異なって,この薬物がインドール核をもっていることである。インドール誘導体には周知のようにLSD 25やpsilocybinなど精神異常惹起物質が知られている。インドール核を持つ化合物のあるものに精神異常惹起作用があり,他のものには抗精神病作用があることは興味のあることである。
一方,睡眠に対するモノアミン仮説がMatsumoto and Jouvet12,17)によって提唱されて以来,睡眠とカテコールアミン,インドールアミンの関係がたちまち研究者の議論の対象となってきた。またLSD 25は一夜の唾眠の初期のREM睡眠を増加させる薬物であると主張するものがあり18),同じインドール核をもつoxypertineのヒトの睡眠に対する作用を検討することも,われわれの興味をひいた。今回,第一製薬株式会社よりoxypertineの提供を受け,正常成人の睡眠に対する影響を検討したので,他の抗精神病薬物の睡眠に対する効果と比較検討し若干の考察を加えたい。
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