Japanese
English
短報
アルコール禁断症状に対するタウリンの予防並びに治療効果
Preventive and Therapeutic Effects of Taurine on Alcohol Withdrawal
池田 久男
1
,
洲脇 寛
1
,
堀井 茂男
1
,
松田 清
2
,
尾原 安郎
2
Hisao Ikeda
1
,
Hiroshi Suwaki
1
,
Shigeo Horii
1
,
Kiyoshi Matsuda
2
,
Yasuro Ohara
2
1岡山大学医学部神経精神医学教室
2河田病院
1Dept. of Neuro-psychiatry, Okayama Univ. School of Medicine
2Kawada Hospital
pp.910-912
発行日 1978年8月15日
Published Date 1978/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202810
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I.はじめに
近年,タウリン(Taurine)の神経系における生理的並びに薬理的作用が多くの研究者の関心を集めている6)。たとえば動物における実験てんかん(けいれん)に対しタウリンが抑制効果を持つことが明らかにされ,抗てんかん剤としてのタウリンの有効性が目下臨床的に検討されつつある2)。
他方,アルコール中毒者の尿へのタウリン排泄の増加(Turner)9)や,慢性アルコール中毒患者のPrepsychotic stateにおける血漿タウリン量の減少(Frederiksen)3)が指摘されている。また実験的にはマウスでアルコールの麻酔作用がタウリン前処置で拮抗されること(Iida)5)や,アルコール禁断によるマウスのけいれんがタウリンで予防並びに治療される(秋山)1)ことが観察されている。これらの事実はタウリンがアルコール禁断症状に何らかの治療的効果をもたらす可能性を強く示唆するものである。
そこでわれわれは断酒を目的に入院した慢性アルコール中毒患者に,入院第1日よりタウリンを経口投与したところ,対照群に比べてタウリン投与群では明らかに禁断症状の発現が減少することを認めたので,その結果を報告する。
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