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I.はじめに
1976年6月16日より3日間フィンランドのトウルクで第18回ノルディック精神医学会が開催された。筆者はオーフス大学オーフス精神病院付属細胞遺伝学研究施設に1975年12月より1976年10月まで滞在したがその間に上記の学会についての情報を得ることができた。筆者は過去の学会の傾向の推移についての詳しい知見はもたないが,後で触れるように疫学的精神医学と結びついた地域精神医学はこの学会のひとつの大きな流れをつくっているようにみえる。この地域精神医学は北欧精神医学の大きな特徴ともいえる。また滞在中にオーフス大学精神科主任教授であるProf. Erick Strömgrenより北欧精神医学のひとつであるデンマークにおける精神医学の特徴について話を聞く機会を得たので,学会については抄録を中心にして合わせて報告する。
この学会はデンマーク,フィンランド,アイスランド,ノルウェーおよびスウェーデンのノルディック5カ国で3年毎に持回りで開かれており今回の2大テーマはPsychiatric preventionとCrisis interventionであった。これらのテーマは前回1973年にアイスランドのレイキャビクで開かれた学会のテーマPsychiatric services planningとFamily therapy & organizationの継続とみることができる。今回のテーマは上の2つ以外に次の6つのテーマが取り上げられた。Epidemiology and prevention,psychopharmacology,psychiatric epidemiology,child and youth psychiatry,psychosomatics and mental hygiene,preventive psychiatry,さらに特別講演としてフィンランドのAnttinenによるPublic health center and mental health workおよび同じくTähkäによるOn the curative factors of psychotherapyがあった。以下主に2大テーマについての興味ある発表を紹介する。
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