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死の経過をとるもろもろの緊張病の一定の症例を単一の疾患群に一括する試みが,この論文で行なわれる。この試みは,いろいろの点で弁明を必要とした。加えるに,端的な史的展望は,さけられない。
われわれがここで注目しているような類似の症例は,久しく文献に知られていた。とくに先達の著者らの急性せん妄の名称の中に,かかる観察がかくれている。この急性せん妄は,しかし独立した病気ではなく--かかる意義をこれに認めた著者はわずかしかなかった--,むしろいろいろの原因の電撃性に経過する精神病に対する一つの総合概念であった。この概念は,器質性精神病と外因反応型の鑑別と区分でもって意義を失った。結局,急性せん妄は——Kraepelinに見るように——一つの症状群であった。これは,ある時は(感染疾患の際の)幾多の急性症状精神病の状態像や,あるいはもろもろの緊張病を標示したし,ある時はいわゆる奔馬性進行麻痺の終末期を提示した。急性せん妄と形容された状態像の多様性は,ついにこの全症状群の解体を進めざるを得なかった。器質性脳疾患の確実な経過過程や経過特性だけが問題でなくなった以上,このあまたの症例はBonhoefferの外因反応型に解けこんだ。これは(あまたの観察数に決してあてはまらなかった)せん妄の名前のまだぴったりあてはまったかの症例だった。この解体過程で残ったのは,結局幾多の解明できない症例や二,三の脳炎(Scheidegger)のほか,なお多くの急性緊張病である。状態像と経過で古い急性せん妄に匹敵したこのもろもろの緊張病にしても,全体の一部をなす疾患群とは把握されず,むしろ稀有な,そして特別の個別症例と把握され原注),いろいろ勘案されてしかるべき特別の地位をものにした。時には,かかる突然の緊張病死亡例に一つのリンパ質状態(Fankhauser)を人は見出し,時には,人はかかる症例でReichardtの証明した脳腫脹を要請した。また人は--深層の皮質細胞のAlzheimer所見に結びつけて--はっきりまだ区別できない「皮質の炎症」,つまりその後Ladameも保証した最も広義の脳炎を考えた。もろもろの緊張病の際の突然の脳死のこのような剖検で「説明される」症例のほかに,なお--まったく稀ならざる--緊張病の死亡例があとをたたず残っていて,この例の場合,具体的な臓器変化は解剖学的にも証明され得なかった。誰もこれを不穏,睡眠障害そして拒食によって支えきれなくなった疲憊と脱力のせいにしたし,また注意深く今列挙した障害を生み出す原因は,「多分身体調節の根本的な障害のため,生命を直接おびやかす」(Kraepelin)のだろうとも推定した。DreyfussやScheideggerらは,そこでこの仮説を現代用語集に翻訳し,とくに間脳の中心窩灰色部に特別の注目を集めている(Specht)大脳調節障害を論じたのだった。しかしこのもろもろの緊張病の経過中,解釈できずに死亡した例の残余群にしても,急性期が慢性段階の末期であったり,時には精神病の初期に現れたので同質ではなかった。そこでScheideggerも,これらの症例を2群(既往発作を伴ったそして欠いた分裂病)に分けたのだった。とにかくこの著者は,もろもろの緊張病のこの急性期に沢山の共通の傾向をみてとっていたのであり,一方あまたの研究家は,大体区別することだけで,つまり従来の経過形式とは別の個別症例の特殊型とみるのに傾いていた。
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