覚醒剤精神病における妄想主題について

On Themes of Delusion in Amphetamine Psychosis

　抄録　覚醒剤精神病でみられた妄想主題に焦点を当てながら，分裂性体験との差異について若干の考察を試みた。その際妄想の持つ自—他関係性の病理を発達論的視座から重視し，妄想主題を3群に分類して次の結果を得た。

　①身体の病理と表現できるような「体感」妄想が多いものの，身体そのものの変容や存立が問われることはない。セネストパチー的被影響感も稀薄で自己所属性や身体図式が喪失・解体することもない。