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特集 近代日本の宗教と精神医学
下五島における比較文化精神医学的調査—島内のカトリック信徒を中心に
Transcultural Psychiatric Research in Shimo-Goto Islands, Nagasaki Prefecture: Especially about the catholics in the islands
太田 保之
1
,
長岡 興樹
2
,
松永 文保
3
,
川副 正昭
1
,
増井 憲治
1
,
森山 研介
4
,
荻野 恒一
5
Yasuyuki Ohta
1
,
Koki Nagaoka
2
,
Humiyasu Matsunaga
3
,
Masaaki Kawazoe
1
,
Kenji Masui
1
,
Kensuke Moriyama
4
,
Koichi Ogino
5
1長崎大学医学部精神神経科教室
2長崎市立市民病院精神科
3長崎県立東浦病院
4杏林大学精神神経科教室
5東京都精神医学総合研究所
1Dept. of Neuro-Psychiatry, Nagasaki University School of Medicine
2Dept. of Psychiatry, Nagasaki Municipal Hospital
3Higashiura Nagasaki Prefectural Mental Hospital
4Dept. of Neuropsychiatry, Kyorin University School of Medicine
5Psychiatric Research Institute of Tokyo
pp.1271-1278
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202561
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I.はじめに
長い鎖国と異教弾圧下にあって,ザビエル布教以来のキリスト教の信仰を守りとおしてきた福江島キリシタンの歴史は,そのまま日本キリスト教の歴史の圧縮といえる。島内各地に今なお存在するキリシタン集落は,その宗教形態の特異性において,またその形成過程の独自性において,宗教学的ならびに文化人類学的観点から注目されてきた。われわれも,かつて2回にわたり下五島の比較文化精神医学的調査を行ない,精神障害のあり方を巨視的に明らかにしてきた1,2)。そこでわれわれは,そのデータをふまえた上で,下五島の文化と歴史,とりわけ下五島キリシタンの歴史の特性をたどってゆき,病者がいかにその歴史と信仰の中に生き,あるいは挫折していったかを文化精神医学的な視点からみてゆきたい。
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