Japanese
English
特集 近代日本の宗教と精神医学
日本の宗教的状況について
On Religious State in Japan
藤岡 喜愛
1
Yosinaru Huzioka
1
1愛媛大学教養部文化人類学
1Cultural Anthropology, School of General Education, Ehime University
pp.1247-1252
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202558
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I.はじめに
日本には宗教がない,あるいはこれに似た立言を,私はこれまで何となく聞き流してきた。このたび,宗教と医学との関連を論ずる座談会があって,席上やはり同じ意味の発言があったらしい。しかも無視されることもなかったらしいのは不思議なことでもない。日本人は無宗教だといういい方は,どうも一般に流布している見方であるらしいからである。
日本文化には恥はあるが罪はない,とか,日本ではいまだに迷信がはびこっている,とか,いろんな評論的立言がこれまでにもあった。これらは一連のものであろうと考えられる。本文では,まず,こうした立言が「事実」を無視していて,こうした立言が実は布教者的立場からの発言にすぎないことを指摘する。ついで,宗教家でもない知識人が,なぜ布教的立場をとることになるか,を,日本社会の中に生じたインテリ・ペリフェラルの位置によって説明する。
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