口絵 眼で見る看護史・2
宗教的看護の全盛
石原 明
1
1横浜市大
pp.45-48
発行日 1959年4月15日
Published Date 1959/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910832
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病気になつた時の肉体的苦痛や精神的な悩みは,人生にとつては何よりも大きな問題である.宗教がまずこれを救いの対象としたことは,ひいて看護と施療を重視するようになり,修行としての宗教的看護が盛んになつてきた.西洋ではカトリック,東洋では仏教の精神のもとに,宗教的看護が極めて発達し,家庭看護から前進して訪問巡廻看護や救療施設が置かれるまでになつた.しかし,宗教を重んじたあまり科学的医療技術を軽視して精神的盲愛のみに傾いたので,外見ほど立派な内容の看護は行われていない.あらゆる学問が宗教に支配され,科学はほとんど無力に近かつたので中世の人々は,神仏の救いのみに頼ることを余儀なくされたのである.
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