Japanese
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研究と報告
青春期危機について(その1)—文献展望と予備的考察
Ueber die Jugendkrisen (Ⅰ) Uebersichtliche Vorbemerkungen
清水 将之
1
,
頼藤 和寛
1
Masayuki Shimizu
1
,
Kazuhiro Yorifuzi
1
1大阪大学医学部精神神経科
1aus der Psychiatrischen Universitätsklinik Osaka
pp.145-152
発行日 1976年2月15日
Published Date 1976/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202439
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I.はじめに
青春期精神医学は,世界的にみても,歩みを始めてよりいまだ四半世紀も経過していない。しかし,青春期という年代に特別の関心が注がれるようになったのは,かなり古いことのようである。恥らいは青春期を特徴づけると語ったAristotelesはさておき,17世紀にはJ. Rockがすでに青春期の養育の難かしさを嘆いている23)し,イギリスの解剖学者T. Willis(1621〜1675)は,「青春と凋落はしばしば愚行をもたらす」と語っているという。
近代精神医学の形態が整い始めた19世紀前半には,J. E. D. Esquirolが成熟期における青年の情緒不安定について記載し,1860年代に入って,B. A. Morelは「成熟は,青年にとって困難な一つの移行期をなし,多くは洞察の障害を招来する」と述べている。W. Griesingerは,思春期(Pubertäts-Alter)における自我の変化(Umgestaltung)や,青春期(Alter der Jugendblüthe)の柔軟性について語り,この年代に多種の精神障害が好発することを指摘している9)。
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