日記の一頁
青春期
瀨谷 カネ
pp.35-36
発行日 1952年3月1日
Published Date 1952/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200063
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ある日曜日の午後顏見知りの奧樣が尋ねて來た。一寸御相談がと玄關でためらつている。姙娠中絶の相談かな生活保護かなと一寸の間にくるくると想像しながら診察室をさけて別室に御通しする。さもさも親しそうに唯彼の噂話になかなか本題に入らない。程よく話の調子に合せながらいつまで時間を無駄にするのかなあと少しうんざりしながら我慢する。
ようやく實はと切り出したのが私の末子ですが學校を卒業してから社會見學のためにある會社に勤めさせておりますが此度縁談があつて話をいたしますと急に泣き出してそれから會社を休んで自分の室から出て來ません。
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