Japanese
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研究と報告
障害児のくり返し行為について
Repeated Behavior in Mentally and Emotionally Disturbed Children
佐久間 モト
1
Moto Sakuma
1
1徳島大学教育学部
1Dept. of Education, Tokushima University
pp.131-143
発行日 1976年2月15日
Published Date 1976/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202438
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Ⅰ.まえがき
乳児が,生まれて初めて物を掴むには,その背後に,何回もの失敗がある。立って歩き喋れるようになるには,何万回と同じ動作のくり返しが行なわれる。先天的にくり返し行為を欠如するならば,摂食などの基本的行動が成立しない。くり返し行為は,動物にとって,基本的行動であり,また不可欠のものであり,くり返すことによる結果として,ある行為が完成するものである。すなわち,くり返しの行為は,生産性を持つものである。
ところが,障害児と生活をともにしていると,終日,ただ,ぶらぶらと身体をゆすり続けているような子供達が目立つ。そのくり返し行為によって運動としたり,体ゆすりの名演技者になるためではない。まったく生産性のない,このくり返し行為は,どう考えたらよいのであろうか。そして,子供達が,このくり返しの行為を始めると,学習も,訓練も妨げられてしまう。つまり,なにかを習得したり,熟達するためのくり返し行為とは,同じくり返しでも,明らかに異なった行為なのである。この子供達のような実りのないところのくり返し行為が,精神分裂病者に認められると,常同症と名づけられて病的所見のひとつとされてきた。
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