Japanese
English
研究と報告
Trichotillomaniaの精神医学的考察—自験例7例を中心に
Psychopathological Aspect of Trichotillomania: Mainly the analysis on experienced 7 cases
小口 徹
1
,
佐藤 喜一郎
1
,
斎藤 隆三
2
Toru Oguchi
1
,
Kiichiro Sato
1
,
Ryuzo Saito
2
1北里大学医学部精神神経科
2北里大学医学部皮膚科
1Dept. of Neuropsychiat., School of Med., Kitasato Univ.
2Dept. of Derm., Kitasato Univ.
pp.43-50
発行日 1976年1月15日
Published Date 1976/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202429
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I.はじめに
Trichotillomania(抜毛症,抜毛癖)とは,頭髪,眉毛,恥毛などを自らの手で,強迫的に引き抜くことにより,その部位に不完全脱毛巣を生ずるもので,1889年Hallopeau11)がAlopécie par grattage-trichomanie ou trichotillomanie-の名で報告したのが最初である。強度の瘙痒感のため,広範囲の頭髪をかきむしる性癖をもった1症例で,明らかな精神障害が認められた。Mannino and Delgado15)によれば,欧米ではすでに,1950年の終りまでに32篇の報告があり,以降飛躍的に報告数は増しているという。
本邦では1930年土肥29)が第1例を報告し,1964年に茶山ら5)が自験例を含めて52例を集積している。1970年には升水ら16)が新たに自験例13例をまとめて報告している。その後も学会報告抄録の形で少数例が追加され現在に至っている19,20)。
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