Japanese
English
研究と報告
欲眠を呈したうつ病の1例
A Case of Depression with Hypersomnia
上島 国利
1
,
菊野 恒明
1
Kunitoshi Kamijima
1
,
Tsuneaki Kikuno
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科教室
1Dept. of Neuropsychiatry, School of Med. Keio Univ.
pp.51-57
発行日 1976年1月15日
Published Date 1976/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202430
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Ⅰ.緒言
ねむりは本能的行動であるが単なる生理的現象ではなく,個人の持つ習慣,環境,心理状態によりその発現が様々な影響を受ける,より人間的な現象である。多くの精神障害において睡眠の異常は,不眠の型をとり,特にうつ病においては,不眠がきわめて高頻度にみられる。一方睡眠増進(hypersomnia)ないし嗜眠(Schlafsucht)は,間脳領域の破壊,動脈硬化,嗜眠性脳炎などの器質的疾患,Kleine-Levin症状群,Pickwickian症状群,ナルコレプシー,神経症(回避反応,擬死反射),内因精神病の一部,などの機能的疾患でみられるが,うつ病においてはきわめて稀な現象とされている。
我々は,うつ病に伴った睡眠増進現象のみられた1症例を経験した。現在までの文献的考察に加えて,この症例にみられた睡眠増進現象発症の状況,その意味について考察したのでここに報告する。
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